人を創る

第23回 人と組織を元気づける人材マネジメント 〜前編

日本の成果主義は次の段階へ進む時期に差し掛かっています。
では、次のステップへ向けて正しい道を歩むために、人事部門が行うべき施策とは何なのでしょうか――「人材マネジメント」の研究で第一人者である守島教授にお話をいただきました。

 

これまでの成果主義

日本で最初に成果主義を導入したのは、1990年半ばの大手電機メーカーだといわれています。現在は、導入して一段落したところだと考えられますが、企業業績が回復している今の時期に、成果主義における人材マネジメントの仕組みづくりを間違えると、結果として大きな禍根が残るのでは、と懸念されます。

コストダウン(人件費削減)を主題とした現行の成果主義は「働く人にとって、賃金が上がる期待を持てない仕組み」という結果をもたらしてきました。また、その一方で、「日本企業の業績が伸び始めている」という事実もあります。現行の成果主義と向き合いながら働いてきた「中間層」からすれば、業績の好転は、これまでのさまざまな苦労やマイナス面(収入の格差が広がったこと、昇給がないこと)に対しての見返りを生んでくれるのではないか――と期待する大きな要因となります。

こういった人たちが「成果主義をくぐりぬけてきて良かった」と思えるよう、新しい成果主義の仕組みに変革しなければ、今後は、人的管理ひいては企業運営が難しくなると考えられます。

賃金が上がる期待を持つことができる成果主義

これまでのさまざまな「成果主義に関する調査」のデータを分析すると、『成果主義によって賃金が上がった』と回答した人は、組織全体の約5分の1(20%)という結果が出ています。つまり、“5分の1”という数についてですが、「2・6・2の法則(※組織には上位20%が高い生産性を上げ、中位60%は並で、下位20%は生産性が見込めない、という経験則)」に当てはまっているのです。

しかし、“賃金が上がったのは組織の20%にすぎない”という事実を見過ごしてはなりません。中間の60%、残り80%も、程度の違いはあっても、生産性向上に貢献したはずです。彼らの賃金が上がらないということは、裏を返せば、現行の成果主義は、8割の人からすれば“夢”(賃金上昇の期待)を持ちにくい制度であるともいえるわけで、賃金制度としては大きな問題をはらんでいるのです。

もちろん、皆を同じレベルで同じ額だけ昇給させるのではなく、上位の人たちの比率を高く設定し、下位の人たちの比率を低く設定する――ということでも良いでしょう。とにかく少なくとも“2分の1”、もしくは、できれば“4分の3”ぐらい(「2・6・2」の「2・6」くらいまで)の人たちが、“賃金が上がる”という期待を持てるような仕組みにすべきです。少なくとも中間層までの賃金が上がるような仕組みを作り、働く人の多くが「努力すれば賃金が上がる」と認識できるように「成果主義」に変えることが重要なのです。

いうなれば、これまでの「成果主義」の目的は、基本的にコストダウン(人件費削減)でした。企業は、働く人の賃金を上げることに力を入れるのではなく、賃金を下げること、収入に格差をつけることに尽力してきました。よって、これまでの成果主義による賃金システムは、賃金を上げて(人件費を使って)人々をモチベートすることとは全くかけ離れたシステムであったと考えられます。その効果は出てきたと言えます。業績に少なからず貢献をしてきたはずです。

しかし、企業の業績も良くなり、ある程度のキャッシュフローも出てきたところで、そろそろ“4分の3”の人たちの賃金が上がる仕組みに変えるべきです。そして、これは、現行の成果主義のフレームワークで十分に対応できます。


一覧に戻る

サイト内検索 by Google

  • メルマガ登録
  • お問い合わせ
  • 資料請求
  • eラーニングの無料体験版のお申し込みはこちら
  • サイバックス株式会社の会社概要へ
  • 個人のお客様はこちらのサイトをご利用ください
  • ケータイ学習 動くビジネス図鑑
  • eラーニング販売パートナー募集
  • サイバックスの社員ブログ つばさ日記